リペアクラフト日記


オクターブチューニングについて

公開日:2015/05/25

今日は少し理論的なことを少々。
タイトル通りオクターブチューニングについて。
image

画像はまぁ特に意味はありません。
ピーターソンのストロボですがうちでのセットアップの際の調整時には全てこれで合わせています。

さて本題。
いわゆるオクターブチューニングの方法論として以下のものが挙げられます。

12Fのハーモニクス音と12F押弦音が同じ音になるように合わせる。

もちろん間違いではないです、ほとんどのギターの本やネットでの情報ではこの方法が挙げられています。

ですがハーモニクス使う確率はまぁ低いかと思います。
実際に12Fハーモニクスと開放弦で精度の高いチューナーを使うとずれていることもあります。
(ハーモニクスの際の指の置き方や弦の弾き方も大きな影響)

ゆえに私が調整する場合は以下の方法にてオクターブの補正を行っております。

1.開放弦と12F押弦がオクターブ上で合うように合わせる。

2.巻き弦、特に6弦5弦は開放弦にたいして12Fを抑えたときにわずかにフラットになるように調整する。
逆にプレーン弦の1弦2弦は開放弦にたいして12Fを抑えたときにわずかにシャープするように調整する。

この二点です。

2のほうに関しては少し慣れと調整後に実際に幾つかのポジションでコードボイシングしてチェックが必要です。

ではなぜ2のように開放弦にたいしてシャープまたはフラットさせるのか。

これはバズフェイトンチューニングシステムでも似たようなロジックであり、またピアノの調律の際にも用いられている方法です。

人間の耳は聴感上、オクターブの関係の音を同時に慣らした場合、低い音がフラットしても違和感が少ないが、シャープすると違和感が大きく感じるためです。

上記しましたピアノの調律はウェルテンパラメントと呼ばれ、平均律で合わせますが、どのキーで弾いても誤差が少なくなるように少しずつずらしています。

一番低いFの音と一番高いFの音では20セントの違いがあるそあですが、違和感は小さいです。
(調律状況などによってもセント数は変わるかと思います)

要するにアンサンブルに入ろうとソロで弾こうと、一つの楽器内で調律が甘いと本末転倒になるため、一つの楽器内で調律を可能な範囲で違和感を抑える方式が結果理にかなっていると思います。

上記しましたバズフェイトンチューニングシステムも同時に開放弦でもわずかに音程をずらし、オクターブ音階でも少しずつ音階をずらすことでハーモニーを弾いた際に誤差、聴感上の違和感を最小にとどめることが目的です。

ゆえにパーフェクトな純正律で調整ができたとしても抑える力でピッチの変わるギターではかえって諸刃の剣になりかねません。
巻弦のほうが抑える力でシャープしやすいためです。

少しぐだぐだな感じはありますが、うちで基本調整の際のオクターブを合わせるときには少し変わった方法でやっていると言うことです。

結果アンサンブルに入ったときにBFTSほどの効果はないですが、違和感は小さくなっていることに気づいていただければ幸いです。

▲ページの先頭へ戻る

この記事にコメントを残す

リペア・修理に関するお問い合わせはコチラ

ページの先頭へ戻る