Plek(プレック)を用いての修理・調整、お承りしています。
【Plek】ギターのスキャンとフレットすり合わせ
ハイエンドミュージックでは2022年7月にPlekを導入し、自社製品であるInfiniteブランドの楽器の仕上げをPlekを用いて行い、これまで以上に製品個体のムラ、いわゆる個体差をなくすことに成功しました。
自社製品の仕上げだけではなく、リペアでもPlekを最大限に活用できないかと考えた結果、これまでは手作業で行っていたフレットすり合わせとフレット交換にもPlekを用いて、フレットの削り量等の無駄を最小限に、クオリティをより確実にしたサービスを皆様に提供させていただくことにしました。
しかしPlekを通すことで、どういった事が数値と共に明確になり、どういった作業が行われるのかを具体的にはご存じでない方が大多数かと思います。
実際に私たちもPlekを導入するまでは正直ピンときていない部分もありましたが、導入した際には、ここまで細かく数値化・解決ができるのか!と驚愕させられました。
この記事ではPlekを用いてのフレットのすり合わせをなるべく細かく解説させていただきます。
施工内容・料金については こちらをご覧ください。http://shop.12msic.com/plek/embed
まずはPlekに楽器をセッティング
Plek本体です。大きさはだいたい電話ボックスほどですかね。最近あまり見かけませんが…。
エレキギター、ベースはもちろんアコースティックギターやウクレレ等も計測可能です。
こんな感じにセットします。
まだまだ何が行われるかイメージできません。
スキャン開始!!
ドアを閉めて早速スキャン(計測)スタート。
やや分かりにくいですが画像中央の四角い箱の先端に尖ったツメがあり、指板や各弦の全フレットをツンツンし、なんなら弦を弾いたりしながら自動で計測を行います。
これが噂に聞く1000分の1ミリ単位での計測というやつです。
ネックおよび指板の反りを確認
計測が終わればネックのリリーフ(反り)具合とフレットの高さを表したデータが出てきます。針みたいなのが縦にニョーンと出て並んでいるのがフレット、その台座になっているのが指板です。
台座(指板)がぐにゃっと湾曲しているので、これだとネックが随分と順反っているということが分かります。なので一旦ギターのトラスロッドを回してネックの状態を安定させます。
ちなみにこの画像は3弦位置のデータですが、もちろん各弦ごとのデータを見ることができます。
つまり、1弦側はあまり反ってないけど6弦側は物凄く反ってるな…、ということはネックがねじれている!なんかも分かるということですね。
フレット削り量を計測
ネックの調整を行い、再度計測したら次に見ていくのがこちらのデータ画面。
パッと見た感じだと、なんじゃこりゃって感じの画面ですが、各弦の各フレットの高さを横から見た図とでも言いましょうか。って言われても全然よく分かんないですよね。語彙力が小学生ですみません。一応義務教育は出てます。
つまり全フレットのこのあたりを物凄く細かく各弦ごとに表しているということです。
6弦をクローズアップした図です。オレンジ色の点線が現在の各弦のフレット高、緑色の点線がフレットを削った後のフレット高になります。
この緑色の点線をコンピュータで丁度良いところまで動かしていき理想の削り量とフレット高を数値と共に導き出します。
フレットカット
理想のフレット高の計算が終わればいよいよフレットカットです。
弦を外してセッティング。やはり弦は外す必要があるので、工程が全て完了した後の交換用の弦はお客様でご用意をお願いします。
フレットカットをする前の状態です。なかなか減ってますね。大事にたくさん弾いてもらったんだろうなとしみじみ感じます。
こんな感じでフレットを削ってくれます。
15分ほどでフレットカットが完了です。いい感じにキレイにカットされましたね。フレットにある細かい傷は計測時の爪痕なのでこれに関しては手作業で除去します。
ちょちょいっと研磨して
バフバフっと鏡面にすると
完成です!めちゃくちゃキレイに仕上がりました。Plek前のフレットと見比べてみるとつまり
これがこうなってこうということです!
次回お持ち込みいただいた際にも
最後の仕上げに確認として、ネック・弦高・オクターブの微調整を手作業で行い終了となります。
最終セットアップ後に再度Plekにてスキャンを行い、データを保存します。
次回お持ち込みいただいた際には、「前回と同じ状態に仕上げてほしい。前回よりもやや低めの弦高に仕上げてほしい。」等のご要望をお伝えいただければ、前回のデータを元に仕上げることが可能です。
つまりこのデータはあなたの楽器のカルテのようなものとなります。
次回お持ち込みいただいた際にも変わらない弾きやすさになるように仕上げることが可能です。
気付かないうちにあなたの大切な楽器にも予期せぬトラブルが起こっている!かもしれませんよ。
そんなトラブルを数値化・見える化して、より良い楽器の状態を明確にしませんか?
皆様のお問い合わせを心よりお待ちしております。
施工内容・料金については こちらをご覧ください。http://shop.12msic.com/plek/embed